先週 9月 30日の金曜日、一つの歴史が幕を閉じた。
ミシガン州にあるフォード・ディアボーン工場で世界最大の SUVである 「 エクスカージョン 」 の
最後の生産がなされ、そして先週末生産ラインのスイッチが切られた。
イラク戦争を機に原油価格が上昇。 さらに巨大ハリケーン 「 カトリーナ 」 と 「 リタ 」 の相次ぐ
襲来により、メキシコ湾岸に点在する石油精製設備がストップ。 この影響でガソリン価格がさらに
急騰したことが致命傷となった。
スーパー・デューティ・ピックアップ・トラックの車台をベースに作られた「エクスカージョン」、
フォード社は一時 2007年までに生産終了予定と発表していたが、ガソリン価格急騰による急速な
売り上げ減となったことで、昨年末に当初発表したとおり今年 9月を持って販売中止とした。
エクスカージョンは 1999年 10月に誕生。 2000年には 5万台を売り上げる快挙を記録した。
シボレー・サバーバンより大きく全長 5.8メートル、全幅は 2メートルを超え、V-10 6.8L 車重
3トンを越えるというモンスター SUV。
ただその大きさから環境保護団体の格好の標的となり、同団体は重量過多、大きさ肥大、ガス食い
自動車と非難。 挙げ句の果てには「フォード・バルデス」と可哀相なニック・ネームを付与えた。
(注: バルデス - Valdezとは1989年、エクソン石油の
タンカーがアラスカで座礁し、原油が流失。 鳥類・
アザラシや海の生物など、海上汚染で大きな被害が
出て有名になったそのタンカー名。
車の話と全く関係はないが、この事故のあと
タンカーは 2重底にすることが義務付けられた
とか...)
← 右写真はアラスカで座礁事故を起こしたタンカー・
バルデス
フォード社は自社最大の SUVを切り離し、今後ハイブリッド・カーや広範燃料 (エタノールなど) に
特化すると社内発表。 レンタル・カー会社のハーツ売却資金の一部をその開発資金に充当すると
いう、本気モードの低燃費車開発に力を入れ始めるという。
一方の GM社、タホやシボレー・サバーバンの代用車種として新たな大型 SUVを来年発表予定。
シボレー・サバーバン
GM社、タホ
ガソリン価格が下がれば GM社に優位に働くことになるが、果たしてこの賭はどちらの勝利となるか。
原油価格が大きく下がることは、もうないのでは...。
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