最近「コラボレーション」という言葉がやたら氾濫している。特に異色企業同士が共同で新しい
製品を作ったときなどに必ずこの言葉が出てきており、今や和製カタカナ英語の筆頭を行く単語に
なってしまったのかもしれない。
さて話は大きく変わる。 海外でレストランに入り、ハンバーガーを注文すると自分の持っている
イメージと違い、びっくりするほどボリュームのある皿が運ばれてきた経験をお持ちの方も多い
のではないか。
この上に乗っかっているパンを取り去り、ハンバーガーの中を覗いてみるとハンバーグではなく
フランクフルト・ソーセージが入っていたとすれば、これは米国料理かはたまたドイツ料理なのか。
「さて今夜の料理はどっち!?」なんていう冗談はここまで。
フォード・エクスプローラ「XLT」に乗っていらっしゃる方のみへのお話。
すでにご存知の方には申し訳なしですが、「エクスプローラー XLT」は半分ドイツ車
だったのだ....。
ドイツ・ケルン市 (Cologne)
フランクフルトから鉄道で約 1時間 30分。
人口100万人を超える大都市。
馴染みがない方でもケルン大聖堂は、
中学社会や美術の教科書に写真が
載っていたのをおぼろげながらに覚えて
いらっしゃるのではないか。
またそのほかにケルン市が日本に有名に
なった一つとして、F-1に参戦したトヨタの
本拠地工場(Toyota Motorsport GmbH) が
ある。
そう ここケルン市にはもう一つの有名
自動車メーカー、欧州フォードの大規模
エンジン工場も操業しているのである。
フォード・ケルン工場は 1962年にエンジン
専用工場として操業を開始。 これまでの
43年間 累計でなんと 2,500万機の
エンジン製作を記録し、今年 8月には記念会を開いている。 現在同工場では 57カ国の国籍を
有する 1,500名以上の従業員が一日 3交代制でシフトを組み、6気筒大小型エンジンを一日に
2,200機、年間で約 68万機を製造。
これら 6気筒エンジンはガソリン仕様だけではなく、エタノールなどアルコール対応の V6エンジンを
手がけ、一機完成の所要時間はわずか 3.6時間という。 大規模製造を可能にした欧州フォード・
ケルン工場は、欧州内でも大手輸出エンジン工場の一つに数えられているそうだ。
(余談だが、欧州域内フォード各拠点を効率的に連携するため、自社のジェット機も所有 している)
当初生産が開始されたのは V-4エンジン。それが1987年から V-6へと切り替わり、1999年に改良。
現在のの V-6エンジンの生産となっているが、2007年まで生産を続け、さらに新型エンジンへと
手が加えられるという。
生産しているエンジンタイプは排気量別に分けると数種類に分類されるが、総じて
「V6 ケルン・エンジン」と呼ばれている。 2,000cc台の小型 V-6はモンデオなどの欧州車へ
供給され、そして4.0リッター、V-6エンジンは米国車専用に輸出されている。
もうお分かりでしょう。この工場で生産されている 4.0 V-6 SOHCエンジン、 1,900回転でその
パワーの 90パーセントを発揮し、低トルクを実現。 一方高速走行でもその力を如何なく絞り出す
210馬力の力を持ったこの「ケルン・エンジン 4.0 V-6」は 現在のエクスプローラーXLTの
心臓部として搭載されているのだ。
さらに 2006年型エクスプローラーに搭載された同改良エンジンは、燃費が10~15 % 向上した上に、
静寂性も一段と増しているという。
ケルン 4.0 V-6エンジン
これは2006年型エクスプローラーの V-6
(XLT他) と、V-8 (Eddie他) の形式表。
エンジンの「製造場所(Manufacturing
Location)」 に、V-6は、「ケルン、ジャーマニー
(cologne, Germany)」となっているのを見出す
ことが出来る。
その他にもこの 4.0 V-6はレンジャー、スポーツ・トラック、マウンテニアにも搭載。 また V-6 4.0、
16バルブの同型エンジンは、あのマスタングにも用いられている。
さらに2004年から、「エセックス 4.0 V-6」との呼び名で英国にも輸出開始。このエンジンはランド・
ローバー社のディスカバリーにも供給されている。
これぞまさしく同一企業の異国にまたがるコラボレーション、外観はアメ車、心臓部分である
エンジンはドイツ製。 「Made in Amemany」 と形容してもいいかもしれない。
XLTブランドのエクスプローラー・オーナーの方々、行楽の秋を迎えて各所にツーリングに行かれる
機会も増えてくると思います。
ドイツ → 米国 → そして日本へと地球を 2/3周してきた XLTのエンジン。
高速上でオーディオのスイッチを切り、今一度エンジン音に耳を傾けてみませんか。
いつもとは違った何かを感じるかもしれませんね。
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