覚えていらっしゃいますでしょうか。 今から約一年半前商船三井所有のカーゴ船、
「 クーガー・エース – Cougar Ace 」 がバラスト調整に失敗。 カナダ・バンクーバー手前の
アリューシャン列島沖で転覆。 その積み荷はマツダ社の新車4,703台の 「マツダ - 3
– 別名アクセラ 」、および 「 CX-7 」 で、米国およびカナダへの輸送の途中でした。
船は 60度に傾きほぼ横向き状態。 当時の記事は過去ログ 2006年 8月 10日と、8月 19日に
アップしていますが (ご興味がございましたらご参照ください)、商船三井の船舶運行
オペレーションにおける、信じられないようなミスによって引き起こされた事故であったのは
言うまでもありません。
この海難事故が起こった当初、マツダ北米オペレーションズ (MNAO) は、「今回のクーガ・エースに
搭載されていた車の全ては、新車として販売しない。 修理可能な車両については、中古車として
販売する可能性はあるが、その場合も詳細な調査を行った後に決定する」とのコメントを即座に発表。
同時に、 「クーガー・エース搭載車両 全ての VIN コードをウェブに掲載し、その車両を明確化。
カスタマーとの混乱を避ける」 と非常に厳格な対応をとりました。
( 2006年 09月 12日、当時マツダ車からのプレス・リリース その 1 )
その後マツダ車は再びその対応を公表。 「 カスタマーへの最善の策として、クーガー・
エース搭載車両 4,703台全てを市販せず、廃棄処分とする。 この決断がマツダ・ブランドの
維持向上につながると確信している 」と、4,703台全ての廃棄を正式発表しました。
( 2006年 12月 15日、マツダ車から "全車両廃棄" のプレス・リリース その 2 )
さてその後、この事故の経緯はどうなったのでしょうか。 ( 参考記事 )
北米マツダ (MNAO) は事故当初、修理できる車は中古車やレンタル・カーなど用に再販を
考えていたようです。 しかしながら米国ポートランド港に陸揚げされた各車両を同社エンジニア・
チームがそれら車両を点検。 そして引き出した答えは、「海水を浴びた車両は、その後どんな
アクシデントが起こるかもしれず、カスタマーに対して責任ある状態で販売することはできない。
クーガー・エースに搭載された新車は、全て廃棄処分とする 」 との最終決断を下したのです。
クーガー・エースに搭載されていた 4,703台の新車全ては、現在米国オレゴン州、ポートランド港
近くの保管場所に集められ、全ての海難保険適用手続きが終了。
タイヤを取り除かれ、今後 2ヶ月かけて全ての車がスクラップされると言います。
この作業を請け負うのが 「 シュナイザー鉄工所 – Schnitzer Steel 」。 26基の粉砕マシーンを
備え、一時間に 200台の処理が可能とのこと。 4,703台のマツダ車の新車が全て解体されると、
2,900トンのスクラップ製鉄に生まれ変わり、さらにこれを別の精錬所に搬送。 再度加工され、
防御壁、ワイヤーや補強鋼などに再利用される予定。
これら車はすでにマツダ社の権利から移転をしていますが、「 その一台たりとも市場には
出回っていない」と北米マツダの広報部は公表。
さらに一言、素晴らしい言葉で締めくくっています。
「一企業として 信用を落とすようなことを、顧客に与えるようなことを我々は望んでいない 」
何かを感じませんか ?
がんばれマツダ !
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