いつまで経っても日本の某社リコール問題は留まるところを知りませんが、2月 2日の経済ニュース、
ブルンバーグ社はフォード社およびエクスプローラータイヤ・バースト事故に関し、かなり深刻で
気になる記事を掲載しています。
恐らく EXに乗っていらっしゃる皆さんすべてがご承知だと思いますが、1990年代後半からファイア・
ストーン社タイヤ・バースト事故と、横転しやすいエクスプローラーの設計そのものが社会問題と
なりました。 これらの横転事故に関し、現在多くの訴訟が持ち上がっており、来週月曜日の
2月 7日から 24件以上審理が開始される予定ですが、フォード社のエンジニア宣誓証言や大量の
社内機密資料が証拠に採用されており、それをブルンバーグ社がすっぱ抜いた記事 を出しています。
7ページに渡るかなりの長文記事で全部をご紹介するのは難しいですが、個人的に省いて良いと
思った箇所は割愛しながらも、出来る限り原文に沿って 2日間に渡りご紹介させて頂きます。
そのタイトルは、
「社内報告書、フォード社エンジニア SUV死亡リスクを警告」
フォード・モーター社は SUVであるエクスプローラーの横転と死亡事故を防ぐためにそのデザインの
変更を提唱したエンジニアの声を無視した。
1993年フォード社のエンジニアである J Cheng技師と J Li技師が、「横転による損傷を防ぐために
エクスプローラーの屋根部分の補強を申し出た」と記録されている。 しかしながら2003年の法廷
宣誓証言で、同社エンジニアの一人であるの C Brewer スーパー・バイザーは、「フォード社は米国
政府からなんら指示がなかったために、その補強はなされなかった」と述べている。
1999年、フォード・ベネズエラのエンジニアは、「サスペンションの不都合によるエクスプローラーの
横転事故で、少なくとも 9人の死傷事故を起こした」とし、その 3年前に 「ショック・アブソーバーを
ホィール側に移行することで解決可能」とした報告書を提出したものの、同社は一切の変更を
行わなかった。 フォード社を提訴している弁護人はブルンバーグ・ニュース社が入手した資料を、
500件にも上るエクスプローラー事故にかかる訴訟で利用しており、関係者は、安全に対する
リスクよりも利益を重視した同社の方針は、やがて今後の販売にも影響するであろうとしている。
一方のフォード社の顧問弁護士は、「これらエンジニアのアドバイスに従わなかったのは、フォード社が
誠実な行動を取らなかったということでもなく、さらに間違いであるとは言えない」とコメントしている。
これら訴訟は 2000-1年にわたるブリジストン社ファイアストーン・ブランドで、タイヤ破損による横転
事故の事故調査における一部余震とされており、ファィア・ストーン・タイヤのバースト事故リコール後に
公表された数千ページに渡る社内文書の一部が訴訟に持ち込まれるようだ。
2003年からフォード・エクスプローラーの販売は低下する一方と社内販売報告書は伝えている。
2003年に 37万3118台を記録した米国内販売総数は、2004年通年で 33万 9,333台と、前年比
9.1 % の減少。ちなみに 2003年の販売台数は前年比 14.0 %の減少となっている。
ただ現行モデルは横転の確率がかなり低くなっており、シボレー・ブレィザー、ジープ・グランド・
チェロキーなどよりも低いことが全米ハイウェイ安全局 (NHTSA)の 1994-2001年のテストで
示されている。 2003年、SUV車横転事故による死傷の 63 %がシート・ベルト不装着によって
引き起こされたと NHTSAは述べている。
とはいうものの関係者の中には、フォード社は販売を行う前にすでに横転テストを中止してしまって
いたと述べている。 T Baughmanフォード・トラックエンジニア・ディレクターは 2000年 12月の法廷
宣誓証言で、レンジャー・ピックアップ・トラックのテスト中に事故が起こったため、1990年半ば頃、
横転テストは中止したと証言。 2004年 11月にはフォード・デザイン・エンジニアである W Ballad
技師が、クラッシュテストによりシートベルトがどう働くかは試験するものの、横転を想定したテストは
実施していないと証言している。 「シートベルトが車のロールに対してどのように反応するかは多くの
結果を残すものの、大規模の横転は滅多になく、繰り返し起こることでもない」と述べている。
ただフォード社は他メーカーと同様のスタンダードなテストとして、横転などのテストを現在
コンピュータ・シミュレーションで実施しているとしているが、消費者団体からは、それがユーザーに
とって最良の方法かどうかとの声もある。 いくら良いシミュレーションを作ったとしてもテスト担当者は
それが本当に理解できるのかどうかとの疑問を投げかけている。
内部資料によると、1990年 最初のエクスプローラーの販売が開始になったが、前年に同社
エンジニアが安定性強化のために車幅を 2インチ広げることを提唱。 ただ時すでに遅く、車の
マーケッティングと 5億ドルに及ぶ投資回収が困難であったことで、結局その設計変更はなされ
なかったとされている。 2002年型モデル 4ドア車からエクスプローラーは幅が広くなったものの、
2ドア車は当時のままの状況で変更されなかった。
さらにエクスプローラーの販売がもたらす利益も、内部資料で明らかになっている。
1990-1997年、フォード社は EXの販売だけで、なんと 134億ドル ( 1兆 4280億円)もの利益を
稼ぎ出したと内部資料が語っている。 皮肉にもそれだけ売れた車の反動が、やがてファイァ・
ストーンタイヤのトレッド分離バースト事故にも繋がっていき、米国連邦政府の調査によると
ハイウェイで少なくとも 271件の死亡事故の因果関係にあるという。
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