厄介な日々が続いています。 米国マーカンタイル商業取引所に上場されている WTI (ウエスト・
テキサス・インターミディエート) 原油価格が急騰。
引け値こそ 105.91ドルと前日比 マイナス 32セントで終わりましたが、一時 106.54ドルと 3日連続で
史上高値を更新しています。
米国・イランの緊張などで 昨年秋口から上昇を続けた原油価格は、今年 1月 02日に 99.62ドルの
高値を付けたあと、米国景気後退懸念から反落に転じ、2月 07日には 86.47セントとわずか 1ヶ月の
あいだに 13 % もの下落を見せました。
しかしながら北米への寒波襲来やチャベス・ベネズエラ大統領がエクソン・モービルへの石油輸出停止
措置を取ったことなどから再び上昇。 2月 27日には ついに 3ケタ台の 100.80ドルへ乗せ、その後
100.00 ドルを挟んで一進一退のあと、週末金曜日には 106.51ドルの史上最高値を付けに行きました。
今回原油高が進んだ主な要因として、米国ドル安とインフレ更新の 2つが上げられています。 OPEC
石油産出国の原油輸出代金はイランなどを除き、主に米ドルで決済されていますが、サブ・プライム
問題で信用収縮の進む米国では、米国連銀が更なる大幅金利引き下げ措置を取るのではとの観測が
続いています。 この金利低下観測を背景に、今年に入ってからドルは全面的に安値を更新し続けており、
対ユーロで 1999年のユーロ創設以来連日の安値を記録。 本日は 1ユーロ 1.5385ドル、対円でも
先週金曜日一時 101.45円を付けたあと現在 102.15円となる 8年振りの安値を更新しています。
ドル安に伴うドル資産の目減りが OPEC諸国の原油産出量の増産を阻害し、3月 5日に開催されたOPEC
総会では生産量を据え置いており、 9月の同総会前に開催予定の臨時総会でも恐らく再び据え置かれる
との見通しが濃厚。また米国では原油・食品価格の上昇が影響し、消費者物価 (CPI) は + 4.3 % 、
生産者物価 (PPI) は、年率で + 7.4 % と、1981年以来 27年振りの上昇となり、景気は
スタグフレーション化。 米国内物価上昇に伴い、原油価格がさらに上昇するという悪循環に陥り始めて
います。
景気後退と共に進むインフレ環境の中、先週後半原油価格は連日の高値を更新して行った先週最後の
金曜日、米国大手投資銀行の一つであるゴールドマン・サックス・ロンドンの石油アナリストが、また首筋が
寒くなるレポートを発表しています。
同社レポート によると、「 原油の平均価格は今年 95ドル、 2009年 105ドル、そして2010年 110ドルまで
上昇し、価格レンジの上限は恐らく 135ドルと考えられる。 しかしながら地政学的リスクの高まりと、
非OPEC産油国の原油産出が横ばい状態で増えない中、米国経済が再び回復を見せた場合、
原油価格は 1バレル 150 ~ 200ドルに達する可能性もある」、と述べています。
下グラフは原油産出量推移を示したものですが、2004年下期から世界の原油産出量はほぼ横ばい
推移となっています。
なぜ原油価格はこれほどまでに高止まりを示しているのでしょうか。 確かに最近米国株式市場などが
軟調な動きを繰り返しており、「 本来金融市場へ投資するはずであった資金が商品市場へと還流。
特に原油と穀物先物が集中的に買い込まれている 」 との見方をしばしば目にすることがありますが、
果たしてそれだけが要因となっているのでしょうか。
新興諸国を批判する意識はさらさらありませんが、国際エネルギー機構が 2006年に発表したグラフを
引用させて頂きました。
このグラフは、2006年における各国一人当たりの原油消費量です。 上位 4カ国の 1) サウジアラビア、
2) 米国、3) カナダ (タール・サンドの埋蔵量世界一)、4) オランダ (北海沿岸のガス田は 欧州第 2位) は
いずれも原油もしくは天然ガスの産出国です。 安価な価格、広大な国土や厳しい気候が原油などの
消費増となっているのかもしれません。 またここでは消費量を人口で割るため、中国、インドなどは
20カ国中下位になってしまいます。
意外なのは日本の第 7位。 日本における一人当たりの原油消費量は、韓国、台湾より少ないのです。
「 なんだ 中国やインドの石油消費量が急拡大していると言われているけど、まだ下位じゃない ! 」 との
インプレッションがまず沸いてきます。 おっしゃるとおり 14億人の人口を抱える中国、 また11億人の
人口を持つインドからすれば一人あたりの原油消費量は格差があり、まだまだ小さいと言えます。
ただこのチャートの右に、○とバーで色濃く示してあるのが一人当たりの原油消費量が増加した国です。
特にタイ、中国、サウジアラビアの消費量が急増しており、先進主要国は英国を除き、微増もしくは減少
している国が目立っています。
それでは下記のチャートをご覧下さい。 これも国際エネルギー機構から拝借したものですが、
「 世界各国が一日あたりに消費する原油と天然ガスの平均増減 」 を、棒グラフにしたものです。
* ベージュ色の棒グラフが 1990年 ~ 2005年における一日あたり、実際の消費量の増減
* ピ ン ク 色 の棒グラフが 2005年 ~ 2015年における一日あたり、推測の消費量の増減
お解かりいただけますように、ここで現状は がらりと変わります。原油および天然ガスの一日あたりその国の
平均消費量は、過去 10年間先進主要国の中でマイナスとなっているのがなんと日本のみ。 その他諸国は
増加していることがわかります。 さらにいずれの主要国も過去 10年と比べ、今後 10年のほうが一日
当たりの消費量が減少する見通しとなっています。
ところがエマージング諸国は過去も今後 10年も消費量は増加する一方。 中国を筆頭に、中近東諸国、
インドなどはガソリンの消費が急拡大する見込みです。 特に中国は過去 10年間、一日当たりの消費量が
27万 6,000バレルであったものが、今後 10年間には 41万バレルへと大きく伸びると予測されています。
日本でカローラが爆発に売れた昭和 40年代に似たモータリゼーションが今中国およびインドで始まりつつ
あります。 かたや日本を中心に先進主要国においては工場設備、自動車や電化製品などの省エネ化
などで、年々原油の消費量は減少すると見られています。
ただ いかんせん上記新興諸国は人口の絶対数に極端な開きがあり、世界全体における原油の消費量は
増加の一途となるのは間違いないようです。
昨日ボクスターの給油をしにガス・スタンドに立ち寄ったところ、1L 158円。 これが会員カードで 1L
154円になるのですが、満タンで46.70 L のハイオクがタンクに入り、総額 7,191円でした。
2,3年後 1バレル 200ドルになっていたらいったいどうなるのでしょう。 原油価格は現在約 105ドル。
これが倍の価格になるということですからガス・スタンドの小売価格も倍になり 1L 約300円。 なっなんと、
支払い総額は軽く大台を超え 1万 4,000円台に達してしまいます。
気軽にカイエンに乗るには、ちと厳しい環境かも知れません。
ただ昨日の給油領収書には支払金額 7,191円のうち、2,500円強に及ぶ道路特定財源税が自動的に
徴収されていることが明示されています。
どう使われているか、お解りですよネ !
ル・マン 24時間耐久レースを基に 2004年から開催されるようになった ル・マン・シリーズ(LMS) レース。
今年は 4月 6日スペインを皮切りに 5カ国で開催が決まっていますが、いずれもサーキットでの走行距離は
1,000Km 以上となる過酷なレース。 プロト・タイプは 2つのクラス分けがしてあり、 LMP1クラスは
最低重量 900kg / 750hp、 LMP2クラスが 800kg / 475 hpとなっています。
その RMS に今年からポルシェ RS スパイダー がデビュー。 LMP 2クラスで参戦することに
なりました。 また GT1、GT2 のスポーツ・カー・タイプ・クラスには、997 GT3 RSR が 6台参加し
4クラス混合のレース運びとなりますが、ポイントはカテゴリー別で集計されます。
ポルシェ RS スパイダーの参加予定は 3台で、チーム名とドライバーは
* Swiss HORAG RACING Fredy Lienhand Didier Theys Jan Lammers
(ホラグ・レーシング) (スイス) (スイス) (オランダ)
* Denmark TEAM ESSEX John Nielsen Casper Elgaard
(チーム・エセックス) (デンマーク) (デンマーク)
* Holland VAN MERKSTEIJN Peter Merksteijn Jos Verstappen Jeroen Bleekemolen
MOTORSPORT (オランダ) (オランダ) (オランダ)
(バン・マークステン・モータースポーツ)
下記は南フランスでテスト走行中のオランダ、バン・マークスティン・モータースポーツ・チームの
RS スパイダー。
2008年のLMSレース日程は、合計 5レース。
04月 06日 スペイン カタルニア・サーキット
04月 27日 イタリア モンツァ
05月 18日 ベルギー スパ・フランコルシャン
08月 17日 ド イ ツ ニュルブルリンク
09月 14日 英 国 シルバー・ストーン
(11月 02日 中 国 上 海)
尚、ハイライトとなるフランス・ル・マン 24時間は 6月 14日 ~ 15日の 2日間開催され、
上記 3つの RS スパイダーのチームのうち、エセックスが参加する予定、さらにフォルクスワーゲン・
モーター・スポーツ・チームがコンテストに望むとのこと。
いずれにせよ RSスパイダーは、今年から初のLMS ル・マン・シリーズへデビュー。
期待したいものです。
米国の消費者に向けて数々の商品をテスト、その結果を公表する企業の中で最も権威のある
Consumer Report 社 が、4月号で 「 ベスト・カー & ワースト・カー 」 の特集を発行しています。
この記事の内容はいくつか分けて説明してあり、例えば、
* ベスト・カー & ワースト・カー 総合、* オーナーの満足度、* 最も加速の良い車・悪い車、
* 最も安全性に富んだ車・危険な車、* 最高のドライブが出来る車、* 最も快適な
乗り心地の車 などが部門毎に紹介されています。
その中でポルシェ 911 と ボクスターが そこそこ上位にランキングされ、なかなかの健闘です。
やはりどんなに年月が経っても、飽きの来ないクルマの一つに数えられているのでしょうね。
それではどの部門にランク・インしているのか、ベスト・ランキングのみとなりますが、
ちょっとご紹介です。
(ワースト・ランキングは除外しています。 また下記個別のタイトルをクリックしていただくと、原文に飛びます )
** ベスト・カー & ワースト・カー 総合部門 ( ベスト・カーのみ )
* レクサス LS460L 99
* インフィニティ M35X (AWD) 97
* インフィニティ M35 (RWD) 96
* ポルシェ 911 カレラ S 96
* トヨタ・シェナ XLE (FWD) 93
** オーナーの満足度部門 ( の中で、ドライブに最も優れたクルマ - How to drive )
* シボレー・コルベッティ
* マツダ・スピード 3
* ポルシェ 911
* ポシェ・ボクスター / ケイマン
** 最も加速の良い車・悪い車 (時速 60マイル – 96.5 km/h までの秒数)
* ダッジ・バイパー SRT10 4.2 秒
* シボレー・コルベッティ Z06 4.3
* ポルシェ 911 カレラ S 4.4
* ロータス・エリーゼ 4.6
* シボレー・コルベッティ (base) 5.0
* アウディ S4 5.3
* メルセデス・ベンツ SL550 6.3
** 最も安全性に富んだ車 ( これはブレーキ性能を示し、時速 60マイル – 約 100km/h – で
ブレーキ・テストを仕掛けた場合、制動のブレがなく、どれくらいで停止するかを計った数値 )
* ポルシェ・ボクスター2.7 112 フィート (34メートル 13センチ)
* ダッジ・バイパー SRT10 113
* ポルシェ 911 カレラ S 113 (34メートル 44センチ)
* マツダ RX-8 117
* BMW Z4 3.0i 117
* ロータス・エリーゼ 117
** 最高のドライブが出来る車 ( fun to drive )
(それぞれの人によってドライブを楽しむ感覚の捕らえ方は違うものの、我々の経験からすると
それら車はパワフルなエンジンと俊敏な加速感ではあるが、ハンドリングの警戒感なしには
語ることが出来ない。 ドライブの楽しさとはそのようなハンドリングのレスポンスやエンジン・
サウンド、自然なパワーの繋がりを感じ、ニャっと笑うような満足感を引き出してくれる車だと
考える。 よって下記のようなモデルが、最近テストにした中から ドライブを楽しむことが
出来る車として選出した )
* ポルシェ 911 カレラ S
* ポルシェ ボクスター
* ホンダ S2000
* マツダ MX-5 ミアタ
* シボレー コルベッティ Z06
* メルセデス-ベンツ SLK350
* インフィニティ G35
* マツダ RX8
* フォルクスワーゲン GTI
* BMW 328i
* マツダ スピード3
* スバル レガシィ GT
* ミニ クーパー S
いかがでしょうか。 その他 当 Blog 昨年 12月03日に揚げた 「 CAR and DRIVER 」 の記事 のご紹介で、
「 2008年 10 Best 」 の中のベスト 10 モデルの一台として、ボクスター / ケイマンが選ばれています。
その理由として、
ペダルを通じダイレクトに伝わるアクセル・ワークおよび的確なブレーキの性能。
敏感なドライブを可能とするダイレクト感あふれるシフト・ギア。
コック・ピットの居住性と良好なスペース。
2人連れのバケーションに十分な、車体の前後に配されたトランクの実用性。 など、
稀有なスポーツ・カーとしての能力と、車として日々の生活に適応する能力を兼ね備えた装備が、
2年連続の受賞理由と、その記事は述べています。
さらに同時期に発行された「 Automobile 」 の、「 2008 Automobile All-Stars 」 の記事中、
2008年ベスト10モデルの中に、 「 ボクスター / ケイマン 」 がベスト・カーの一台としてピック・アップ
され、高い評価が掲載 されています。
その記事をかいつまんでご紹介いたしますと、我々はコンバーチブルもしくはハードトップ、
さらにミッド・エンジンのスポーツ・カーとして、今年の All-star 10台 の一台に分け隔てなく、
ボクスター / ケイマンを選出した。
「 ボクスターなんてポルシェじゃない 」 とか、「 911が買えなかったのでケイマンにしたのだろう 」 と
言う人もいるが、我々スタッフからすると 「そんな馬鹿げたコメントは無視しちゃえ 」といったところだ。
ここに取り上げた All-star 10台の車のうち、最も獲得票が多かったのがボクスター・ケイマンであり、
当然の結果であると考えている。 我々編集部に取材用の両モデルが届いた時、誰が自宅まで乗って
帰るか大論争になってしまう。 みんなが乗りたいと思う気持ちが、奪い合いに発展してしまうのである。
なぜなら答えは簡単だ。 ステアリングのダイレクト感と操縦感。 ブレーキ性能の良さ。 水平対抗 6気筒
エンジンがかもし出す機械的なサウンドは、現実離れしたものを感じ取ることが出来るだろう。
2.7 L であろうが 3.4 L エンジンは数秒で制限速度まで達する反面、ポルシェが基本目標と
している直進での安定性は、見事なほどに維持されている。
同様に低速も良し。使い勝手のある 2の前後トランク。 インテリアの自然な配列。 まさに
ボクスター・ケイマンは はっとする日々のドライブをもたらせてくれるのだ。
このクルマが持っている全ての点が、そのドライバーに笑顔を作ってくれる。 シュタットガルト
からやってきた官能的なエンジンが、毎日何かをもたらしてくれそうだ。
と、締めくくっています。
大きな期待感と楽しみ、そして一抹の不安を抱えながら 4月の納車に首を長くしてお待ちに
なっていらっしゃると思います ナベさん。 また5月納車ご予定のちんはらさん。 その後如何
お過ごしでしょうか ?
お粗末な内容かもしれませんが、本日のアップが多少のお役に立つようでしたら、
よろしいのですが...。
既に 3月 04日の日経新聞が報じているように ポルシェ社 ( Dr. Ing. H.c. Porsche AG ) は、
フォルクス・ワーゲン社 ( Volkswagen AG ) の株式を買い増し、その持ち株比率を 51.0 % にまで
引き上げることを 3日に開いた監査役会 (日本で言う取締役会) で決定。
ドイツ独占禁止局の認可が下り次第、現在の VW社の株価から試算して、総額約 80億ユーロ以上
(約 1兆 2,600億円以上 ) をかけて株式買い取りを実施することを決定しています。
こちら 1月 31日の Blog 記事でも掲載しましたように、現在ポルシェ社は VW社の発行済み株式の
31 % を保有しており、ドイツ 16州のひとつであるニーダ・ザクセン州が 20 % を保有しています。
ただ 48年前に制定されたフォルクス・ワーゲン法において、発行済み株式の 20 % 以上を持つ大株主が
現れたとしても、その議決権は 20 % までしか認めないとしています。
しかしながら昨年 10月 23日、欧州統合諸国全体を司る 欧州高等裁判所は、ドイツのVW法が欧州域内
全体の資本の流動化を妨げるとし、この法案に対し違憲判決を下しました。
これを受けて現在ドイツ法務省で改正VW法施行を検討中ですが、新法案も旧法案に類似した内容となる
可能性が高く、既にポルシェ社は関係省庁や州議会に抗議文を送付しています。 よって再び劣勢になる前に
一気に攻勢のスタンスを取り、大株主としての権利主張を目指し、51.0 % の VW社の株式取得を目指した
ものと考えられます。
攻勢に出るポルシェ社の資産は 700億ユーロ ( 約 1兆 1,000億円 )、対する VWグループは
1,500億ユーロ ( 約 23兆 6,000億円 ) の資産を持ち、まさに小が大を飲み込む絵巻物。
VWグループにはフォルクス・ワーゲン社グループ企業として、トラック・メーカーであるスカニア
(スウェーデン、VW社は同社株式の 2 / 3 を取得する予定。 さらにスカニア社は、ドイツ最大の
トラック・重工メーカーであるマン社 (MAN) を支配下に置いており、またベントレー (英)、ブガッティ (仏)、
シュコダ (チェコ) などを傘下に持ち、さらにアウディ・グループ (99 % の株式を VW社が保有) では、
ランボルギーニ (伊)、セアト (スペイン) と組んでいます。
仮に VW社の株式を51.0 % 取得した場合、ポルシェ・グループの年間総販売台数は 650万台。
全タイプの車種が揃うことになり、またグループの規模もゼネラル・モータース社、トヨタ自動車、
フォード社に続く、世界第 4位の自動車グループに躍進することになり、第 5位はルノー・日産グループが
それに続くことになります。
さて、邦貨換算で 1兆円を越す買収資金を、どのように調達するのでしょうか。
実際ポルシェ社は昨年 3月、350億ユーロ ( 約 5兆 5,000億円のシンジケート・ローンを
ABNアムロ銀行 (オランダ)、バークレーズ・キャピタル (英)、メリル・リンチ (米)、コメルツ銀行 (独)
そしてUBS銀行 (スイス) の5行と与信枠を締結し、31.0 % の株式取得へと乗り出しました。
この 350億ユーロのシンジケート・ローン枠設定は、昨年一般私企業で設定されたものとしては最大の
金額でしたが、今年 3月に期限切れとなり、先月 2月に再度 100億ユーロの与信枠が設定されています。
100億ユーロ ( 約 1兆 5,700億円 ) の のクレジット・ライン枠は運転資金や緊急時のみに用途が
限られており、 VW社の買収資金には使用されないとのことのようですが、なぜか新たに VW株式 20 %の
買い増し資金と、ほぼ同額となっているのがミソかもしれません。
さらにポルシェ社は 3月 3日に自社株式1株を、 10株に分割し、1株当たりの価格引き下げを行い、
市場参加者が買い易いように株式分割を実施しています。 これにより株価は 1 / 10 になりましたが、
株主は 10倍の株数を付与され、理論価格は同じ。
ただ一般投資家が買い易くなったことで、今後株式市場からの資金調達も容易になると考えられます。
因みに本日午後 20:30時現在のポルシェ社と VW社の株価は、
* 本日のポルシェ社株価 118.35ユーロ ( 約 18,600円 )、対する
* Vワーゲン社の株価は 152.45 ユーロ ( 約 24,000 円 ) となっています。
平行して昨日発表になったポルシェ社の上半期利益 (2007年 8月 ~ 208年 1月 )は、前年同期比
44 % も伸び、13億ユーロ ( 約 2,046億円 ) の純利益 (前年同期は約 9億ユーロ) を稼ぎ出し、
税引き前利益は 24 % 増の16億 6,000万ユーロ。
売上高は 34億 9,000万ユーロ ( 約 5,500億円 ) と、前年同期比 14 % もの増加となっています。
これはカイエンを先頭に各モデルとも好調な販売が続いたこと、さらに昨年 VW社への出資比率を
引き上げた (株式の買い増し) ことで、収益が大きく好転。 まさに営業利益と金融利益の両輪が、
うまく転がり始めていると言えるのではないでしょうか。
ドイツ独禁局による買収承認の許可が下りるまで少なくとも数ヶ月かかるということで、その間に
改正フォルクス・ワーゲン法の骨子も発表されることになるでしょう。
しかしながら欧州諸国、いや世界の自動車産業の流れは、再び加速度を増してきているのが
現実となりつつあります。
今後の世界の自動車産業を占うことが出来るビック・イベントが、もうすぐ始まろうとしているようです。
今後の成り行きに注目でしょうネ !
米国の景気鈍化、ガソリン価格の再上昇を受け、2月の米国自動車販売は1月に引き続き大幅減少と
なりました。 米国ビッグ 3の販売実績は、GM社が ▲ 12.9 % 減、フォード社が ▲ 6.9 % 減、
クライスラー社が ▲ 14 % 減。 さらにトヨタも ▲ 3 % と大手 4社が軒並み販売台数を落とすという悲惨な
結果で終わっています。 2月の全社自動車販売総数は ▲ 6.3 % 減。
昨年 6月以来 8ヶ月連続の落ち込みを続けています。
特にサブ・プライムの影響を受け米国住宅着工が下落を示す中、各社ともライト・トラックの販売減少が
顕著になってきている。 また住宅ローン焦げ付きの増加から、クレジット会社の与信枠の審査が厳しく
なってきており、自動車ローンの減少も新車の販売減の要因となっています。
6年間続いた景気拡大が終焉し、下降局面を迎えた今、4年間減少が続いていた失業率の減少も 昨年
12月および今年1月は上昇に転じ、2月 ミシガン大学消費者信頼感指数も 16年来の低水準。 個人の
消費マインドの落ち込みが、新車の販売台数に大きく影響し始めているようです。
現在のような低迷した販売環境が続くのであれば、今年の米国国内自動車販売は 1,550万台前後となり、
1998年以来の低水準を示すと市場関係者は予測しています。
主要自動車メーカー別に見てみますと、
* G M 社 26万 8,737台 ▲ 12.9 %
( ライト・トラック ▲ 19.2 % 減少が響く )
* フォード社 19万 6,681台 ▲ 6.9 %
(フュージョンやフォーカスの販売伸びるもトーラスなどの大型車の販売減、 F-シリーズトラック
▲ 4.9 % 、. エクスプローラーはなんと ▲ 27 % 減の大幅落ち込み )
* クライスラー社 15万 0,093台 ▲ 14.0 %
( ダッジ・グランド・キャラバン ▲ 32 %、ジープ・ラングラー ▲ 23 %、およびレンタル・カー調整で
2ヶ月連続の 2ケタ減)
* ト ヨ タ 18万 2,169台 ▲ 2.8 %
( カローラのフルモデル・チェンジ後でまだフル生産に入っていない反面、トラック・タンドラが
+ 49 % の伸びとなった )
* ホ ン ダ 11万 5,397台 + 4.9 %
( フィット、シビック、CRV、パイロットの販売全て好調。 全米市場シェア 9.8 % )
* ニッサン 8万 6,219台 + 1.2 %
( SUV 新型ムラーノ、ローグおよび アルティマ、パーサが好調 市場シェア 7.3 % )
* ポルシェ ▲ 11.0 %
* メルセデス + 7.3 %
* B M W ▲ 1.8 %
* V ワーゲン + 1.2 %
と、大半のメーカーが販売減。 環境悪化の中、メルセデスとホンダの健闘が目立ちます。
それでは米国市場での、ポルシェ社各モデルの販売実績は同だったのでしょうか。
上記どおりポルシェ全モデルの販売台数は 1,715台と前年同月の 1,967台を割り込み、▲ 13.0 % 減
(米国のみ、カナダを加えると ▲ 11.0 % 減) の落ち込みとなりました。
やはり景気後退、先行き不透明感がますます色濃く出始めた環境化の中、スポーツ・カー購入への
嗜好に、やや慎重な気配が見え始めたようです。
ただ 2月からカイエン GTSの納車が開始。 好調な滑り出しを見せており、カイエン・モデル全体では
755台と、前年同月の 360台の売り上げ倍増となっています。
下記は米国市場における 、2月 ポルシェ・個別モデルの販売実績です。
2008年、2月、米国市場における ポルシェ・全ブランド、販売実績
|
2008年 |
2007年 |
2008年 |
2007年 |
モ デ ル |
02月 |
02月 |
01月 ~ 02 月 |
01月 ~ 02 月 |
ボクスター |
74 |
122 |
222 |
229 |
ボクスター S |
50 |
73 |
121 |
140 |
ケイマン |
93 |
173 |
328 |
370 |
ケイマン S |
141 |
151 |
445 |
438 |
全 ボクスター / ケイマン |
358 |
519 |
1,116 |
1,177 |
|
|
|
|
|
911 カレラ クーペ |
52 |
103 |
153 |
193 |
911 カレラ S |
56 |
139 |
162 |
260 |
カレラ カブリオレ |
43 |
76 |
88 |
158 |
カレラ S カブリオレ |
71 |
125 |
174 |
256 |
カレラ 4 クーペ |
7 |
19 |
16 |
41 |
ターボ クーペ |
63 |
284 |
138 |
473 |
カレラ 4S クーペ |
48 |
61 |
132 |
120 |
911 タルガ 4 |
3 |
19 |
13 |
35 |
911 タルガ 4S |
33 |
41 |
71 |
89 |
カレラ 4 カブリオレ |
12 |
26 |
23 |
56 |
カレラ 4S カブリオレ |
52 |
103 |
125 |
167 |
ターボ カブリオレ |
151 |
0 |
298 |
0 |
911 GT3 |
4 |
71 |
13 |
141 |
911 GT3 RS |
7 |
18 |
15 |
18 |
全 996 カレラ・モデル |
0 |
1 |
0 |
1 |
|
|
|
|
|
全 911 モデル |
602 |
1,086 |
1,431 |
2,008 |
|
|
|
|
|
カイエン Tiptronic |
363 |
54 |
853 |
143 |
カイエン MT |
8 |
0 |
20 |
2 |
カイエン S |
211 |
34 |
598 |
199 |
カイエン ターボ |
85 |
20 |
202 |
32 |
カイエン ターボ S |
0 |
177 |
1 |
368 |
カイエン チタニウム |
0 |
75 |
1 |
1,020 |
カイエン GTS Tiptronic |
81 |
0 |
81 |
0 |
カイエン GTS MT |
7 |
0 |
7 |
0 |
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全 カイエン |
755 |
360 |
1,763 |
1,764 |
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カレラ GT |
0 |
2 |
0 |
2 |
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全ポルシェ車 モデル 合計 |
1,715 |
1,967 |
4,310 |
4,951 |
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認定中古車販売台数 |
552 |
453 |
1,116 |
902 |
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