ポルシェ・カイエン S と、911 カブリオレ。 ヨメと家族とポルシェたちに囲まれ、仕事に精出すサラリーマンの ぬる湯 顛末記。
Posted by フラン - 2008.03.05,Wed
既に 3月 04日の日経新聞が報じているように ポルシェ社 ( Dr. Ing. H.c. Porsche AG ) は、
フォルクス・ワーゲン社 ( Volkswagen AG ) の株式を買い増し、その持ち株比率を 51.0 % にまで
引き上げることを 3日に開いた監査役会 (日本で言う取締役会) で決定。
ドイツ独占禁止局の認可が下り次第、現在の VW社の株価から試算して、総額約 80億ユーロ以上
(約 1兆 2,600億円以上 ) をかけて株式買い取りを実施することを決定しています。
こちら 1月 31日の Blog 記事でも掲載しましたように、現在ポルシェ社は VW社の発行済み株式の
31 % を保有しており、ドイツ 16州のひとつであるニーダ・ザクセン州が 20 % を保有しています。
ただ 48年前に制定されたフォルクス・ワーゲン法において、発行済み株式の 20 % 以上を持つ大株主が
現れたとしても、その議決権は 20 % までしか認めないとしています。
しかしながら昨年 10月 23日、欧州統合諸国全体を司る 欧州高等裁判所は、ドイツのVW法が欧州域内
全体の資本の流動化を妨げるとし、この法案に対し違憲判決を下しました。
これを受けて現在ドイツ法務省で改正VW法施行を検討中ですが、新法案も旧法案に類似した内容となる
可能性が高く、既にポルシェ社は関係省庁や州議会に抗議文を送付しています。 よって再び劣勢になる前に
一気に攻勢のスタンスを取り、大株主としての権利主張を目指し、51.0 % の VW社の株式取得を目指した
ものと考えられます。
攻勢に出るポルシェ社の資産は 700億ユーロ ( 約 1兆 1,000億円 )、対する VWグループは
1,500億ユーロ ( 約 23兆 6,000億円 ) の資産を持ち、まさに小が大を飲み込む絵巻物。
VWグループにはフォルクス・ワーゲン社グループ企業として、トラック・メーカーであるスカニア
(スウェーデン、VW社は同社株式の 2 / 3 を取得する予定。 さらにスカニア社は、ドイツ最大の
トラック・重工メーカーであるマン社 (MAN) を支配下に置いており、またベントレー (英)、ブガッティ (仏)、
シュコダ (チェコ) などを傘下に持ち、さらにアウディ・グループ (99 % の株式を VW社が保有) では、
ランボルギーニ (伊)、セアト (スペイン) と組んでいます。
仮に VW社の株式を51.0 % 取得した場合、ポルシェ・グループの年間総販売台数は 650万台。
全タイプの車種が揃うことになり、またグループの規模もゼネラル・モータース社、トヨタ自動車、
フォード社に続く、世界第 4位の自動車グループに躍進することになり、第 5位はルノー・日産グループが
それに続くことになります。
さて、邦貨換算で 1兆円を越す買収資金を、どのように調達するのでしょうか。
実際ポルシェ社は昨年 3月、350億ユーロ ( 約 5兆 5,000億円のシンジケート・ローンを
ABNアムロ銀行 (オランダ)、バークレーズ・キャピタル (英)、メリル・リンチ (米)、コメルツ銀行 (独)
そしてUBS銀行 (スイス) の5行と与信枠を締結し、31.0 % の株式取得へと乗り出しました。
この 350億ユーロのシンジケート・ローン枠設定は、昨年一般私企業で設定されたものとしては最大の
金額でしたが、今年 3月に期限切れとなり、先月 2月に再度 100億ユーロの与信枠が設定されています。
100億ユーロ ( 約 1兆 5,700億円 ) の のクレジット・ライン枠は運転資金や緊急時のみに用途が
限られており、 VW社の買収資金には使用されないとのことのようですが、なぜか新たに VW株式 20 %の
買い増し資金と、ほぼ同額となっているのがミソかもしれません。
さらにポルシェ社は 3月 3日に自社株式1株を、 10株に分割し、1株当たりの価格引き下げを行い、
市場参加者が買い易いように株式分割を実施しています。 これにより株価は 1 / 10 になりましたが、
株主は 10倍の株数を付与され、理論価格は同じ。
ただ一般投資家が買い易くなったことで、今後株式市場からの資金調達も容易になると考えられます。
因みに本日午後 20:30時現在のポルシェ社と VW社の株価は、
* 本日のポルシェ社株価 118.35ユーロ ( 約 18,600円 )、対する
* Vワーゲン社の株価は 152.45 ユーロ ( 約 24,000 円 ) となっています。
平行して昨日発表になったポルシェ社の上半期利益 (2007年 8月 ~ 208年 1月 )は、前年同期比
44 % も伸び、13億ユーロ ( 約 2,046億円 ) の純利益 (前年同期は約 9億ユーロ) を稼ぎ出し、
税引き前利益は 24 % 増の16億 6,000万ユーロ。
売上高は 34億 9,000万ユーロ ( 約 5,500億円 ) と、前年同期比 14 % もの増加となっています。
これはカイエンを先頭に各モデルとも好調な販売が続いたこと、さらに昨年 VW社への出資比率を
引き上げた (株式の買い増し) ことで、収益が大きく好転。 まさに営業利益と金融利益の両輪が、
うまく転がり始めていると言えるのではないでしょうか。
ドイツ独禁局による買収承認の許可が下りるまで少なくとも数ヶ月かかるということで、その間に
改正フォルクス・ワーゲン法の骨子も発表されることになるでしょう。
しかしながら欧州諸国、いや世界の自動車産業の流れは、再び加速度を増してきているのが
現実となりつつあります。
今後の世界の自動車産業を占うことが出来るビック・イベントが、もうすぐ始まろうとしているようです。
今後の成り行きに注目でしょうネ !
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