ゴンザレス家族が大切にしていた、無き母の写真も消えてしまった。 今11歳である娘のサンディが
初めて自分で立ち上がった時の写真、楽しく過ごした10歳の次女モナの誕生日に撮った写真も
全て消滅してしまった。
壁に掲げていた家族の写真、キッチン・カウンターにそっと置かれた写真立ても....。
家屋のそばにあるガレージに停めてあった 1994年型マーキュリー・グランド・マーキュス
(Mercury Grand Marquis) が炎に包まれたために、ゴンザレス氏の家族は、火災によりその全てを
失ってしまった。 そして広大な敷地の中に建った夢のマイホームも何もかもを...。
フォード社の車のオーナーでそれに該当した人同様、クルーズ・コントロールからの自然発火は、
ゴンザレス家族にとってまさに悪夢といえる事故であった。
ゴンザレス家の夫であるローマン氏、妻のサンドラの自宅に けたたましい火災報知器の音が鳴り
響いたのは 2002年 10月 29日の深夜零時 20分。 妻は、「その時のことは混乱していて何も
覚えていないの...」と当時を振り返っている。
当日寝室のドアを開けてみると、ガレージの閉じられた鋼鉄のドアの先にある目の前の車庫は
すでに火に包まれていた。 4つの部署の消防隊員が駆けつけ消火にあたってくれた甲斐もなく、
ゴンザレス・ファミリーの自宅は消滅してしまった。
検査にあたった火災保険調査官は、「スピード・コントロールからの出火が認められる」とコメント。
今年 1月に約 80万台のリコールが出た F-シリーズの同じスイッチが使用されていた。 ゴンザレス
家族の車は、午後 7:30時に奥さんであるサンドラが日用雑貨を買いに行ったあと誰も使用して
いなかった。
しかも火災補償は被害見積よりも 17万ドル低い、20万 8000ドル (約 2,180万円) しか受け取る
ことが出来なかった。 自宅の火災以降、立て直しに一年以上経った時点でも ペンキはおろか
補強さえもままならない状態であった。
事故後 夫であるゴンザレス氏が何とか家屋を修繕したものの、恐怖を覚えているためか、娘達は
2階の寝室ではなく、未だ 1階で就寝しているのである。 ゴンザレス・ファミリーに起こったことは、
決してまれな出来事とは言えないのではないか。
こういった事件を担当しているマイケル・ジョリー弁護士は、「明らかにスピード・コントロール・
スィッチの不都合から起きた不幸な出来事」と証言をしている。 「ドライバーがスピード制御の
ためにスピード・コントロールを使用するが、ブレーキを踏まない限りそのスピードを維持し続ける」と
述べている。 スィッチは電子制御で結ばれており、車のスイッチを切っても維持されることがあると
いう。 「エンジンそばに配置された燃えやすい液状部品が、発火を招く可能性あり」とその事故を
分析。
今年 1月、フォード社は F-150 2000年モデル、エクスペディション、リンカーン・ナビゲーター、
2001年型 F-シリリーズ・スーパークリューに対し、リコールを適用した。 その総数およそ 80万台。
さらにそこには 1992と1993年型のクラウン・ビクトリア、リンカーン・タウンカー。 そしてゴンザレス家
所有であるあの「マーキュリー・グランド・マークス」も含まれていた。
ジョリー弁護士は、「2003年までにフォード社は同一スィッチを用いた車を約 1700万台販売している」
という。フォード社から提供された資料には、未だリコールされない18車種に同一スイッチが使われて
いると述べている。
ただフォード社のキンレー・スポークスマンは、「リコールの対象となった二つの事例以外は、同じ
製品を用いていない」とコメントを述べており、全米ハイウェー交通安全局 (NHTSA) と歩調を
合わせて発火したスィッチのの原因を突き止めている」とコメント。
不思議なことに、2004年11月に、NHTSAが2000年型の F-シリーズの調査開始を発表して以来、
未だ調査をし続けていることである。
フォード社のキンレー・スポークスマンは「火災事故は深刻に受け止めている。 ただケース・バイ・
ケースの事故もあり、その調査は難しく、会社責任以外の事例を把握することもある」と、否定的な
見解。 キンレー・スポークスマンは、「火災の原因がクルーズ・コントロール・スイッチからの発火が
要因となっているかも知れない」と推測しているという。 「仮にフォード社が描いているスピード・
コントロール・スイッチからの不都合による同様のケースが見つかれば、すぐに行動を起こす」と
述べてはいるが、「それがフォード社がリコールしたスィッチからの発火によって起きた事故とは
限らない」とあくまでも否定的な意見。
フォード社がさらなるリコールをしようがしまいが、ゴンザレス家族は裁判の結審を心待ちにし、
引き続き自宅修繕に励む毎日だという。
未だ現ガレージは、滅多に使用しない水車小屋と同じように、「車庫に車を止めるなんていう気は
全くない」と、妻のサンドラがつぶやいていたのが最後まで気になった。
と、そのコラムは締めくくっている。
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上記記事は 2月 25日に、米国 The Monitor社がネットに配信した記事です。私個人としては、
未だ Ford社の車に乗っていますし、EXを別の車種に乗り換えるつもりも全くありません。
あり得ないことですが、「100パーセントない」と言えないことがあります。あなたの あるいは私の
EXのラッチが走行中に不都合を起こし、後部ガラスが飛んでたまたま歩いていた幼い息子もしくは
娘を連れた家族を直撃したとしましょう。 もっと飛躍した想像で、、その事故の被害者が自分の
家族であるとしたら..。
あなたはその事故を「リコールの対象だったから」と責任の全てをFJLに押しつけて、それで
「おしまい」とされるのでしょうか。
人間誰にも間違いはあります。会社も間違います。でも「自己責任」という言葉は、こういうときに
こそ使いたいものです。
まだ修理がお済みでない方、お知らせははもう届いているはずですよね。出来ますなら、早いうちに
お近くのディーラーに出向いて下さいね。 あなたもフォード・ファンかEXファンであるはず...。
リコールの重さをもう一度感じて頂きたく、揚げてみました。
注) 写真は 2月21日に掲載された、The Monitor社記事から引用させて頂きました、
発火要因となると言われている「クルーズ・コントロール・スイッチ部品」です。
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