ドイツ株式市場が、大変なことになっています。
こんなことを書くと最近の世界同時株安を受けて、ドイツ株式市場が大暴落をしていると
思われがちですが、今週に入り なんと 「 フォルクスワーゲン社 」 の株価が、半端でない
上昇を示しています。
先週金曜日のフォルクスワーゲン社の株価終値は、一株 210.52 ユーロ ( 約 2万 4,900円 ) 。
それが本日 18時現在、920 ユーロ ( 約 10万 8,600円 )。 今週月・火曜日の一日と一時間で、
なんと 4.3 倍もの上昇です。
今日は日経平均も一時 7,000円の大台を割り込み続落となりましたが、なんか公的資金の買いが
入ったとの囁きで、引けはは 7,621円と前日比約 500円高で終了したようですね。
麻薬のようなカンフル剤的 買い入れiによる、大幅株価上昇。 一過性の現象と思えてなりません。
では日本の株価反発が、フォルクスワーゲンの株価に影響があったのでしょうか。
確かにその効果も否定する訳ではなく、ドイツ株式の指標となる DAX指数も 4,700台に戻り
+ 400ユーロ以上の上昇。 前日比約 10 % 近いプラスとなっています。
ただこの DAX指数と比べ、フォルクスワーゲン社の株価上昇率は、明らかに異常。
先週末一株の株価が 210ユーロ、。それが 4倍以上になり、本日の取引価格は 920ユーロ。
そこにポルシェ社が絡んでしたのは、まぎれもない事実でした。
その理由を明らかにする前に、世界の主要カー・メーカーの今年の株価推移をご覧ください。
今年上半期、原油高。 夏頃からはサブ・プライム問題の拡大による、各国信用創造の急速な
収縮による自動車ローン審査厳格化などにより、各社の株価は、VW社を除き、急落に近い
下落を演じています。 それが下の各オート・メーカーの株価チャートです。
(各メーカーの株価チャートは、Yahoo Finance U.K と、Yahoo Japan からお借りしています。)
まずは世界最大の自動車メーカー、 GM - ゼネラル・モータース社 。
続いて、フォード・モーター社 。
次はドイツに移り、メルセデス・ベンツ社。
さらにバイエルンのエンジン職人 (マイスター) と呼ばれている BMW 社 。
そしてポルシェ社も、夏前から低迷です。
では日本の自動車メーカーの株価はどうなっているのでしょうか。 車の販売台数ではGM社に
近づいた、トヨタ自動車 もこのとおり。 米国ではゼロ・金利ローンも実施計画ながら、下げ止まりません。
GT-Rの登場で脚光を浴びている 日産自動車も、世界の景気鈍化に勝てず。
海外に強く、最近新型オデッセイを発表した 本田技研も、このとおり。
それでは本日のテーマとした、フォルクスワーゲン社 の株価推移は、今年どんな形を描いたのでしょうか。
これです !
さらに さらに、「 過去 5日間 」 の、フォルクスワーゲン社 株価推移です。
すご~ い !
では何故にフォルクスワーゲン株が、こんなに高騰しているのでしょうか。
きっかけは 10月 26日にポルシェ社から公表されたこのステートメントです。
今回は夕刊フジ (共同通信社 配信) からの記事を、お借りいたします。
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2008年 10月 27日付、夕刊フジ記事より引用させていただきます。
独ポルシェ、VWへの出資比率42.6%に引き上げ
ドイツのスポーツカーメーカー、ポルシェは26日、同国の自動車大手フォルクスワーゲン(VW)に
対する出資比率を42.6%に引き上げたと発表した。ドイツ・メディアが報じた。VWに対する支配権を
一層強める狙いがあるとみられる。
ポルシェはこれまで30%超のVW株を保有する筆頭株主。年内に50%超まで出資比率を上げる
経営目標を示していたが、金融危機を背景に「市場の劇的な変化から経営判断した」としている。
さらに、ポルシェは経済事情が許し、規制当局の承認が得られれば、2009年中にVWへの
出資比率を75%まで引き上げる意向という。(ベルリン=共同)
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如何でしょうか。 ポルシェ社は議決権の 20 % を所有するドイツ・ニーダ・ザクセン州の特権である、
株主議決権の制限条項に対抗および撤廃実施するため、フォルクスワーゲン社の発行済み株式、
市場浮動株の大半を買い込むという計画を発表してしまいました。
またフォルクスワーゲン株を空売りしている投資家に対し、ポルシェ社によるフォルクスワーゲン株の
取得を事前に知らし、市場に警告を与えたので大騒ぎ。
ショートしている投資家が急いで買い戻す動きと、フォルクスワーゲン株の更なる上昇期待感が
伴う買いが顕著に表れ、フォルクスワーゲン社の株価は大幅上昇となってしまいました。
過去株式投資をやったことがないので、このままフォルクスワーゲン株が今以上に上がるかどうか
定かではありません。 ただ発行済み浮動株式の大半が ほとんど全部買い進まれるとしたら、
今回の VW社の株価上昇は、妥当な水準と言っていいのかもしれません。
世界の自動車メーカー・グループの再編が、また始まったようです。
現在の総資産から判断すれば、ポルシェ・グループは 世界最大のカー・メーカーとなりました。
金融恐慌から車の売上減で、またポルシェ社ががダメになるのではと推測された皆様、思いは逆でした。
来年は世界最大のカー・メーカーとして、活動できる可能性が高まったようです。
潤沢な手元流動性と、世界の主要銀行からの借り入れファシリティを兼ね備えたポルシェ社。
この混乱した金融市場に、あえて一石を投じるような経営戦略は、かなりのものだと思います。
我々の想像や憶測を、遙かに超えた カー・メーカーのようですネ。
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